■実家じまいとは
実家じまいとは、親が住んでいた、あるいは今も住んでいる実家について、家財の整理、相続関係の確認、不動産の売却や譲渡、解体などを進めながら、家族がその家を持ち続け、管理し続ける負担をなくしていくことです。売ることだけを指す言葉ではありません。

空き家は増え続けています。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、2023年10月時点の全国の空き家は約900万戸で過去最多、空き家率は13.8%でした。賃貸用や売却用、別荘などを除いた、使い道のない空き家だけでも約385万戸あり、5年前より37万戸増えています[1]。総務省統計局は、一人暮らしの高齢者が増え、亡くなったり施設に移ったりしたあとに空き家になる例が増えていると説明しています[2]。
なかでも困りやすいのは、不動産会社に相談しても買い手がつかない実家です。地方の古い家、荷物が大量に残った家、山林や農地が付いている不動産などがこれにあたります。こうした物件では、いくらで売れるかを考える前に、どうすればこの実家を自分たちの代で終わらせられるかを考える必要があります。
■実家じまいは何から始めればいいか
最初に家を片付ける必要はありません。片付けや解体にお金を使う前に、その不動産がいまどういう状態で、どんな手放し方ができるのかを確かめるほうが先です。
進め方の基本は次の順番です。
- 土地と建物の状況を調べる
- 所有者と相続関係を確認する(相続登記が済んでいるかも含めて)
- 固定資産税や維持費を把握する
- 売却できる見込みを調べる
- 売却以外の方法も含めて、出口を比べる
- 方針が決まってから、片付けや各種手続きを進める
数百万円をかけて解体したのに土地も売れなかった、という順番だけは避けたいところです。このあと説明するとおり、解体が前提になる出口もあれば、解体すると選べなくなる出口もあります。
相続登記には期限があります。2024年4月1日から、相続で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料が科されることがあります。義務化より前に相続した不動産でも、登記が済んでいなければ対象で、その場合の期限は2027年3月31日です[3]。実家の名義が亡くなった親のままなら、売却や譲渡の話に入る前に、まずここを確認してください。
■実家じまいにはいくらかかるか
実家じまいに決まった料金はありません。かかる可能性がある費用としては、家財の整理、測量、登記、解体、庭木の処理、専門家への報酬などがあります。
ただ、どの実家でも解体や大がかりな片付けが必要になるわけではありません。古い家のままでも欲しいという人が見つかることもありますし、荷物が残ったままの状態で譲れることもあります。費用の見積もりより先に、どういう状態なら引き受けてくれる人が現れそうかを調べるほうが、結果的に無駄が出ません。
■不動産会社に売れないと言われた実家はどうするか
ここは、実家終活代行がいちばん力を入れている部分です。
一般の不動産売却で買い手が見つからなかったからといって、手放せない不動産だと決まったわけではありません。価格、条件、相手を変えると、別の道が開けることがあります。たとえば、安い価格での現状渡し、無償での譲渡、隣の土地の持ち主への相談、古い家を使いたい個人への譲渡など、物件によって考える出口は違ってきます。売れるか売れないかの二択にしないことが大切です。
売却以外の出口のひとつに、相続土地国庫帰属制度があります。2023年4月27日に始まった制度で、売ることも譲ることも難しい土地を、国に引き取ってもらえます。
対象になるのは、相続または遺贈(相続人に対するもの)で取得した土地です。自分で買った土地は対象外です[4]。費用は、申請のときの審査手数料が1筆につき14,000円、承認されたあとに納める負担金が10年分の管理費相当額で、宅地や雑種地などは原則20万円です。市街地の宅地、一部の農地、森林は、面積に応じて金額が決まります[4]。結果が出るまでの標準処理期間は8か月で、事案によってはもっとかかります[5]。
注意したいのは、建物や、管理や処分のじゃまになる工作物がある土地、土壌汚染や埋設物がある土地、境界がはっきりしない土地、担保権が付いている土地などは承認されないことです[4]。建物が建ったままの実家は、そのままでは申請できません。使うなら、解体して更地にするところからになります。解体費用は自己負担です。解体に踏み切る前に、この出口を使うのかどうかを決めておく必要があるのは、そのためです。
売却できそうな場合は、税の特例も確認しておきたいところです。親が一人で住んでいた実家を相続し、一定の要件を満たして売ったときは、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けます。相続の開始から3年を過ぎた年の12月31日までに売ることが条件で、適用期間は2027年12月31日までです。主な要件には、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家屋であること、相続の直前に亡くなった方以外に住んでいた人がいないことなどがあります[6]。相続人が3人以上いる場合の控除額は、2,000万円になります[7]。要件が細かいので、使えるかどうかは税理士に確認してください。
■0円なら実家を手放せるか
0円にすれば必ず引き取り手が現れる、というわけではありません。不動産は、手に入れたあとにも固定資産税、建物の管理、草木の手入れ、境界の確認、残された荷物、修繕といった負担がついてきます。0円だから欲しいという人は少なく、この条件なら引き受けてもいいという状態をつくれるかどうかで決まります。
場合によっては、0円にするより、安くても売買契約を結んだほうが双方にとって都合がいいこともあります。契約の方法や責任の範囲は物件ごとに違うので、宅地建物取引士、司法書士、弁護士など、適切な専門家に確認が必要になることがあります。
■山林や農地が付いている実家は手放せるか
可能性はありますが、宅地だけの物件より確認することが増えます。
農地は、宅地と同じ感覚で自由に売り買いできるとは限りません。農地を売買したり貸したりするときは、原則として農業委員会の許可が必要で、許可を受けずにした契約は無効とされています(農地法第3条)。相続で農地を取得した場合は、許可は要りませんが、農業委員会への届出が必要です(同法第3条の3)[8]。
山林は、道路への接し方、境界、管理の状態によって、扱いやすさが大きく変わります。国庫帰属制度の負担金も、森林は面積に応じて決まります[4]。
家はいらないから土地もまとめて処分したいという場合ほど、家だけを見ずに、土地全体をひとつの案件として調べる必要があります。
■実家を放置するとどうなるか

誰も住まなくなっても、持っている限り管理の責任は残ります。固定資産税だけの話ではありません。建物の傷み、庭木や雑草、害虫、近所への影響、災害のときの破損など、年が経つほど問題が増えやすくなります。
税の面でも不利になることがあります。2023年6月に公布された改正空き家法で、倒壊のおそれがある特定空家に加えて、放っておくと特定空家になりかねない管理不全空家も、市区町村による指導や勧告の対象になりました[9]。勧告を受けると、土地にかかる固定資産税の住宅用地特例が外れ、翌年の税額が大きく増えることがあります。一般には最大で6倍程度と説明されています[10][11]。
もうひとつ見落とされやすいのが、次の世代への先送りです。親から子へ、子から孫へと相続が重なるほど、関係する人が増えて、話がまとまりにくくなります。実家じまいは、不動産を処分する作業であると同時に、いずれ誰かが背負うはずだった負担を、自分たちの世代で片づけることでもあります。

■実家終活代行とは
実家終活代行は、売りにくい実家も含めて、どうすれば家族がその不動産を手放せるのかを調べ、実家じまいの出口を一緒に組み立てるサービスです。
次のような実家を主な対象にしています。
不動産会社に相談したが売れなかった
地方なので買い手が見つからない
古すぎて値段が付かない
荷物が大量に残っている
山林や農地まで付いている
遠方に住んでいて、何から始めればいいか分からない
最初から売ることを前提にはしません。土地、建物、周辺の環境、法律上の条件、管理の負担などを確認して、その実家にどんな出口が考えられるかを整理するところから始めます。
■実家じまい無料診断とは
実家終活代行では、実家の状況を整理するための無料診断を行っています。売ってくださいという営業から始めるものではありません。この実家にはどんな問題があるのか、どんな方法なら手放せる可能性があるのか、何から手を付ければいいのかを、まず整理します。
売れる実家よりも、売れなくて困っている実家のご相談をお待ちしています。
■よくある質問
Q. 不動産会社に断られた実家でも相談できますか?
A. できます。一般の仲介では売りにくい実家も、実家じまいの方法を考える対象です。ただし、必ず手放せることをお約束するものではありません。
Q. 家財が残ったままでも相談できますか?
A. できます。処分費をかける前に、物件全体の出口を考えたほうがよい場合があります。
Q. 全国の実家に対応できますか?
A. 物件の所在地や内容を確認したうえで、対応方法を考えます。遠方の場合でも、資料や公開されている情報から先に確認できることがあります。
Q. 無料診断を受けたら契約しなければなりませんか?
A. いいえ。実家の現状と選択肢を知るためにお使いください。
Q. 実家じまいは誰に相談すればいいですか?
A. 問題によって窓口が変わります。不動産の売却なら宅地建物取引業者、登記なら司法書士、税金なら税理士、法律の問題なら弁護士です。実家じまいはこれらの分野にまたがることが多いので、最初に何が問題なのかを整理しておくと、相談先を間違えずに済みます。
■売れるかどうかだけで判断しない
値段が付く家なら、不動産会社に任せて片づくことは少なくありません。難しいのは、値段が付きにくい実家です。
だからこそ、この家がいくらで売れるかだけでなく、どうすればこの家を次の世代に残さずに済むかまで考えてみてください。実家終活代行は、そのための選択肢を整理するところから、実家じまいをお手伝いします。
実家じまいについて、もっと詳しく知りたい方へ
実家じまいには、片付け、相続、売却、解体、税金など、さまざまな問題が関わります。特に、田舎の売れない実家や、遠方にある空き家は、何から手をつければよいのか分からず、先延ばしになりがちです。
実家じまいの進め方や費用について、以下の2つの完全ガイドで詳しく解説しています。
【実家じまい完全ガイド】
実家の片付けから売却・処分まで、具体的な手順と選択肢をまとめました。
https://zikkazimai.jp/column/zikkazimai-guide/
【実家じまいのお金と税金・完全ガイド】
相続、売却、解体にかかる費用や、知っておきたい税金の制度・特例を解説しています。
https://zikkazimai.jp/column/zikkazimai-money-tax/
売れない実家、処分できない土地、片付かない空き家でお困りの方へ。
実家終活代行では、物件の状況を調べ、売却・譲渡・片付けなどの現実的な選択肢を整理する「無料診断」を行っています。
▶ [実家終活代行の無料診断はこちら](https://zikkazimai.jp/)
■出典・参考資料
[1]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(2024年4月30日速報値)
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/
[2]時事通信「空き家、過去最多900万戸 30年で倍増、全住宅の13.8%―総務省」(2024年4月30日)
https://sp.m.jiji.com/english/show/32719
[3]法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
[4]法務省「相続土地国庫帰属制度」概要資料
https://www.moj.go.jp/content/001376268.pdf
[5]大阪市東淀川区「相続土地国庫帰属制度のご案内」(法務省資料に基づく)
https://www.city.osaka.lg.jp/higashiyodogawa/cmsfiles/contents/0000565/565507/PA3-2.pdf
[6]国土交通省「相続した空き家を早期に譲渡した場合は、譲渡所得の特別控除が受けられます」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001753626.pdf
[7]千葉市「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除のご案内」
https://www.city.chiba.jp/toshi/toshi/anzen/documents/3000.pdf
[8]農林水産省「農地をめぐる事情について」
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/wakariyasu.html
[9]国土交通省 近畿地方整備局掲載資料「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年6月14日公布)」
https://www.kkr.mlit.go.jp/kensei/jutaku/ol9a8v0000035gqj-att/2.pdf
[10]静岡市「空き家の適切な管理」
https://www.city.shizuoka.lg.jp/s7345/s013021.html
[11]Financial Field「空き家を放置したままにすると固定資産税が6倍に!?」
https://financial-field.com/tax/entry-261662