聞き手:編集部
「不動産会社に断られた実家は、もう売れないのか」——実家終活代行の代表・半沢真也に、8カテゴリ40項目の診断と、20の出口という考え方について聞きました。
「売れない」と言われた家族が、次にどこへ相談すればいいのか
――「実家じまい」というと、普通は不動産会社に相談するものだと思っていました。
半沢:もちろん、普通に売れる家なら、それが一番シンプルだと思います。不動産会社にお願いして、買い手が見つかって売却できる。それなら私たちの出番はそれほどありません。
私たちが主に考えているのは、その先です。
「この場所では売りにくいですね」「建物が古すぎます」「家財を全部片付けてから来てください」
そうなったときに、家族だけで「じゃあ次にどこへ相談すればいいんだろう」と考え始めることになります。
私は、そこで選択肢がなくなったとは考えません。むしろ、そこからが「実家終活代行」の仕事だと考えています。
――具体的には、どのようなご相談が多いのでしょうか。
半沢:本当に幅広いのですが、多いのは、長年荷物が片付けられずに残ってしまった、いわゆる「ごみ屋敷」に近い状態のご実家です。ご家族だけで踏み込むには精神的にも体力的にも負担が大きく、まずそこで動けなくなってしまうケースが少なくありません。
もう一つは、遠方にある実家です。ご自身は都市部にお住まいで、実家は数百キロ離れた地方にある。現地に行くだけで一日仕事になってしまい、何度も通うことができない、というご相談も多いです。
どちらの場合も、共通しているのは「何から手をつけていいか分からない」という状態だということです。だからこそ、まず現地に出向いて状況を整理し、ご家族はオンラインでもやり取りできる形にすることを大切にしています。
まず、8カテゴリ40項目で現在地を整理する

――そこで使うのが「ご実家総合診断書」なんですね。
半沢:はい。私は最初から「売りましょう」「解体しましょう」と決めることはしません。
まず、土地・建物・環境・市場性・法務・難易度・親族・税務という8カテゴリー、40項目に分けて、ご実家の現在地を整理します。
例えば築50年という情報一つだけでは、私は判断できないと思っています。
接道はどうなっているのか。土地の形はどうか。建物はどの程度使えるのか。家財はどのくらい残っているのか。周囲にどんな需要があるのか。相続や登記はどうなっているのか。ご兄弟はどう考えているのか。今後持ち続けた場合にいくらかかるのか。
そういうものを一度、全部テーブルの上に出す。実家じまいは、「いくらで売れるか」だけを調べても答えが出ないんです。
20の出口は、絞り込むために広げる

――診断書を見ると「20の出口」というものがあります。20種類も解決方法があるんですか?
半沢:20種類すべてが、その家に使えるという意味ではありません。むしろ逆です。
20の可能性を一度広げてから、その実家で現実性のある2つ、3つに絞っていく。それが私たちの考え方です。
――例えば、どんな出口があるのでしょう。
半沢:一番分かりやすいのは、普通に不動産会社を通して売却することです。でも、それだけではありません。
例えば、中を整理して賃貸住宅として貸す。長期の住宅利用が難しければ、条件や法令を確認したうえでレンタルスペースや倉庫的な利用を検討する。
土地に需要がある地域なら、近隣の方の駐車場や敷地利用という方向も考えられます。
立地や建物の条件が合えば、必要な許認可等を確認したうえで民泊などの宿泊用途を検討することもあります。
逆に、お金をかけてきれいにするのではなく、古い家を自分で直したいDIY好きの方などに、現状に近い状態で安価に譲る可能性を検討することもできます。
さらに土地の条件によっては、農林業的な利用など、住宅とは違う活用可能性を考える余地もあります。例えば、地域・土地・法規制・採算などの条件がそろうなら、原木シイタケのような地域資源を使った小規模事業まで発想を広げて検討する、という考え方です(いずれも、実現には個別の条件確認や専門家への相談が前提になります)。
もちろん、何でも実現できるという話ではありません。大事なのは、最初から「不動産として売る」だけに出口を限定しないことです。
「この家をどう売るか」ではなく「この家族の実家問題を、どう終わらせるか」
――かなり不動産会社とは発想が違いますね。
半沢:役割が違うんだと思います。
不動産会社は、不動産取引の専門家です。片付け業者は、家財を整理する専門家です。解体会社は、建物を安全に解体する専門家です。それぞれ必要な存在です。
ただ、私たちが最初に考えるのは、「この家をどう売るか」ではなく、「この家族の実家問題を、どう終わらせるか」なんです。
だから場合によっては「まだ解体しない方がいい」と考えることもあるし、「家財を全部処分する前に出口を決めましょう」と考えることもある。逆に、建物を残すことに意味がなければ、解体して土地として考えた方がいいケースもあるでしょう。
出口が変われば、最初にやることも変わります。だから、最初に診断するんです。
基準は「最高値」ではなく「最終的にいくら残るか」
――20の出口から選ぶとき、何を基準にするのでしょうか。
半沢:売却価格だけでは決めません。私はむしろ、「全部終わったときに、いくら残るのか」を大切にしています。
例えば50万円で売れるとしても、売れるまで数年かかって、その間の固定資産税や草刈り、修繕、家財処分などでそれ以上のお金が出ていくなら、本当に「50万円で売る」のが一番いいのか。
一方、0円に近い金額でも、条件が合う引き受け先に早く手放せて、その後の管理負担がなくなるなら、ご家族にとってはそちらが合理的なこともあります。
ですから、手残り・時間・初期費用・将来負担・実現可能性・家族の意向。そうしたものを比較していきます。
私はこれを、「最高値を探す」のではなく「その家族にとって一番納得できる出口を探す」仕事だと思っています。

まとめ:まずは、現在地を整理することから
「不動産会社に断られた」は、実家じまいの終わりではありません。実家終活代行では、8カテゴリ40項目の無料診断を通じてご実家の現在地を整理し、20の出口から可能性を比較したうえで、必要に応じて司法書士・宅建業者等の専門家と連携し、実行までディレクションします。
まずは無料診断で、ご実家に合った出口を整理してみませんか。
※本インタビューでご紹介した活用方法は、一般的な考え方の一例です。実現の可否は、法令・地域・物件ごとの条件によって異なり、個別に専門家・関係機関への確認が必要です。掲載内容は取材時点のものです。
