「家は売っていい。でも、庭だけは待ってほしい」
実家終活のご相談で、最初にそう言われることがあります。
今回のようなケースで悩ましいのが、建物でも土地でもなく、庭の片隅にある、小さな盛り土です。
埼玉県秩父市にある、ご依頼人の実家。
ご両親が亡くなったあと、空き家になっていたこの家には、13年間一緒に暮らした愛犬が、庭の隅に眠っています。
亡くなったのは、ちょうど母親が体調を崩す少し前のことでした。火葬はせず、庭に土葬しました。当時はまだ、家族で暮らしていた家です。
その後、両親が相次いで亡くなり、家は空き家になりました。
ご依頼人は、こう話していました。
「正直、犬のことまで考える余裕はありませんでした。でも、いざ家を売ろうとなったとき、”あの子はどうするんだろう”と、急に気になり始めたんです」
■最初から「掘り起こす・残す」を決めません
私がこういう相談を受けたとしたら、まず現地を見ます。
庭のどのあたりに埋葬されているのか。何年前のことか。火葬済みか、土葬か。家族の中で、どなたがその場所を覚えているか。
これらは、法律上の手続きとは別に、家族にとって大切な情報です。
そのうえで、実務的な事実も整理します。
ペットを自宅の庭に埋葬すること自体は、法律上問題ありません。私有地であれば、人間の遺骨のように「改葬許可」といった行政手続きは不要です。動物の遺体は一般廃棄物として扱われ、ペット霊園のような施設も、法律上は人間の墓地とは別の扱いになります。
ただし、ここで一つ、見落とされがちな問題があります。
家を手放したあと、次の所有者がその庭を掘り返し、遺骨を見つけてしまう可能性があることです。何も知らされていなければ、次の所有者にとっては、驚きとトラブルの種にしかなりません。
法律上は問題ないことと、そのまま何も伝えずに引き渡していいかは、別の話だと私は考えています。
■「掘り起こす」か「そのまま託す」か、選択肢は一つではありません
実家終活の相談を受けると、「とにかく掘り起こして、ペット霊園に移すべきですよね」と言われることがあります。
もちろん、それも一つの方法です。
ただ、私はそこで即答しません。
掘り起こして、火葬し直し、ペット霊園や自宅の新しい供養先に移す。これは、ご家族の気持ちの整理としては、大きな意味を持つ選択です。一方で、何年も前に埋葬された土葬の場合、掘り起こす作業自体が、想像以上に負担の大きいものになることもあります。
もう一つの道は、そのままの状態で、次の所有者に事実を伝えたうえで引き渡すことです。
買い手によっては、「気にしない」という方もいれば、「それなら庭の別の使い方を考えたい」という方もいます。これは、どちらが正しいというものではなく、ご家族がどちらに納得できるかの問題です。
私がこの相談を受けたら、両方の選択肢を整理し、それぞれにかかる手間と気持ちの面を比べたうえで、ご家族に選んでいただきます。最終的にどちらを選ぶかを決めるのは、私ではありません。
■「もう覚えている人がいなくなる」という不安
ご依頼人が、こんなことも話していました。
「うちの両親が亡くなったら、あの子のことを覚えているのは、もう私だけなんです。だから、ちゃんと何か形にしておきたくて」
これは、庭の扱いの問題であると同時に、家族の記憶をどう次につなぐかという問題でもあります。
写真を残す、簡単な供養を行ってから整理する、新しい場所に移して手を合わせられるようにする。方法はいくつもあります。
大切なのは、とりあえず片付けてしまうのではなく、家族が納得できる形を一緒に探すことだと思っています。
■家を手放す前に、整理しておきたいこと
今回のようなケースでは、次のような点を確認しながら進めます。
・埋葬されている場所、時期、火葬の有無
・掘り起こして移す場合の手順と、依頼できる業者の有無
・そのまま引き渡す場合、買い手にどう事実を伝えるか
・家族の中で、気持ちの整理がついているか
これらは、建物や土地の診断とは別に、整理しておくべき項目だと考えています。
■まとめ
実家終活は、建物や土地の話だけではありません。庭に眠る家族の一員のことも、大切な整理の対象です。
実家終活代行では、8カテゴリ40項目の無料診断を通じてご実家の現状を整理し、20の出口から可能性を比較したうえで、こうした情緒的な整理についても、ご家族のペースに合わせてお手伝いします。
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※上記は、再構成した内容であり、個別の事例を特定できる情報は含んでおりません。法律・手続きに関する内容は一般的な情報であり、個別の状況により異なる場合があります。
※本記事は、個人や住所が特定されないよう、内容を再構成したものです。
参考URL
ペットを自宅で埋葬することはできるのか?埋葬方法や注意点についても解説 https://www.animalpark.co.jp/1902 自宅の庭への埋葬が法律上問題ない点、動物の遺体が一般廃棄物として扱われる点について参照しています。
ペットの骨を庭に埋めて供養してもいい?遺骨を埋葬する際のポイント https://www.cocopet.jp/journal/life/136/ 家を手放す予定がある場合の注意点(次の所有者とのトラブルの可能性)について参照しています。